彩色された優勝額

さてこちらが、贈呈式当日、正面入り口前に飾られた優勝額。
白黒写真が、こんなに立派な「色彩写真」に仕上がりました!
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初場所春場所の優勝力士が握手。
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把瑠都関と握手をされているこの後ろ姿が、彩色を施した女性です。
ビシっと白のスーツでキメていらっしゃいます。
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この方が佐藤寿々江さん。
昭和26年から、優勝額の着色作業をひとりで続けてこられた彩色家です。
これまで、照国を皮切りに、土俵の鬼の初代若乃花や、このほど亡くなった偉大な横綱大鵬
300枚以上の優勝額を手掛けてこられた方。
80歳を超えていらっしゃるのに、実に若々しく矍鑠とされています。
 
ギャラリーに招き入れてくださったときに、お話しさせていただいたのですが、
作業を始めると、1日7、8時間、飲まず食わず、休憩なしで続けられるのだそうです。
だから終わると、体重が数キロ落ちるのだとか。
 
すごい根気と集中力!!
それなのに、よくぞ作業中に招き入れ、お話にお付き合いくださったものです。
この上なくありがたいことでした。
 
優勝額の彩色は、だれに教わるでもなく、試行錯誤を繰り返して体得されたそうです。
絵筆と脱脂綿を使い分けて着色していく技法もご自分流。
きっと力士特有の重量感を出すための工夫がこらされているはずです。
 
「いまの横綱(←白鵬)は太刀を持つのが好きでねぇ」と茶目っ気たっぷりに笑う佐藤さん。
太刀は細かいので、写真に入っていると、どうやら彩色の手間が増えるということみたいです。
今回のもそうだし、国技館に掲げられている白鵬の優勝額を見ると
たしかに太刀を携えた姿が目立ちます。
 
以来、優勝力士が横綱じゃなかったら、佐藤さんはいまごろほっとされているのではないかしら、
と想像したりしています。
 
佐藤さんの後継者はいまのところいらっしゃらないそう。
「カラー写真になっても影響ないんじゃない?」とおっしゃっていましたが、
そんなことは絶対にありません!
 
あの重み、あの厚み、あの立体感は、手間ひまかけて着色しているからこそ
出てくるにちがいありません。
それをいちばんご存じなのは、佐藤さんご自身なのでしょうけれど。
 
質問へのお答えは、いずれも「あまのじゃく的」だったけれど、
それはすべて謙遜の念からくるお言葉で、かわいらしさと奥ゆかしさが感じられました。
そして、このお仕事への誇りと愛情がたっぷり詰まっていました。
 
贈呈式で再会し、ギャラリーでのお礼を申し上げ、
ごいっしょに記念写真を撮らせていただきましたが、
佐藤さんにとってこの日は、大作を仕上げ、それをご本人たちに贈呈するという晴れ舞台。
とても輝いていらっしゃいました☆☆
 
「次回も8月下旬に同じギャラリーで作業をするので、見にいらしていいですよ」
とやさしいお言葉をかけていただき、お別れしました。