高い音を響かせるやぐら太鼓のヒミツ
太鼓のお話をもうひとつ。
やぐら太鼓は、一般的な和太鼓に比べてずいぶん高い音を響かせます。
テレビもラジオもなかった江戸時代は、触れ太鼓や一番太鼓が場所の開催を知らせる手段だったため、
より遠くまで音を届ける必要がありました。
それでおそらく、革を極限まで強く張って高い音を出したのではないかと考えられます。
両国で叩かれた太鼓の音は当時、西は品川まで、東は千葉・木更津まで聞こえたといいます。
(現在は交通量が多いため、両国国技館のやぐら太鼓は、
目と鼻の先といえる回向院くらいまでしか聞こえません…)
革を極限まで強く張るということは、破れるリスクと常に隣り合わせということ。
当然誰にでもできるわけはありません。
ということで、使っているうちに緩んでくる革の、数年に1度の張り直しをお任せできるのは、
長年の経験に裏打ちされた勘と熟練の技が、やぐら太鼓の高い音を支えているのですね。