やぐら太鼓の学び方

前回の続きはまず、やぐら太鼓について印象に残ったお話から。

太鼓を覚えるときには、楽譜などはないため、口伝えで「トトン トン トン」などと教わり、
初めは太鼓は叩かせてもらえないので、バスタオルなどを巻いたものを太鼓に見立てて練習するそうです。

呼出の新弟子クンが大部屋の片隅で「トトン トン トン」と口ずさみながら
バスタオルを叩いている姿を夫も見かけたといいます

相撲の太鼓とほかの和太鼓との、決定的な違いのひとつは打ち方で、
太鼓の革の面を自分のほうに向けるのではなく、自分に対して垂直に置き、
テニスでいえば、右手はフォアハンド、左手はバックハンドで打つのです。

左右均等の力で打つのは、さぞ難しかろうことは推察に難くありません。
肘から上は固定して、手首だけを使って打つのがコツとのこと。

初日の前日に開催を知らせる触れ太鼓、初日の朝に叩く一番太鼓、
打ち出し後に叩く跳ね太鼓など、何種類かありますが、
まず触れ太鼓を学び、マスターするのに2、3年、
跳ね太鼓まですべて叩けるようになるのに5~10年かかるそうです。

土俵造りの合間に、太鼓の練習、発声練習、木を鳴らす練習…。
呼出さんが身につけるべき職人技は、実に幅広いのです