洋服より着物がラク?

入門してから引退するまで、着物の生活をしていた夫。
部屋にいるときや近くのコンビニくらいまでなら、ジャージ姿。
ボタンのついたシャツも、もちろんネクタイも、25年間身につけたことがなかったわけです。
 
だから引退後、慣れるまでは洋服を着るのにやたらと時間がかかっていました。
「着物のほうがラクだ」とボソボソ言っているのを何度か耳にしました。
 
まず太い指で小さなボタンをひとつひとつ留めるのが難儀。
5年経ってだいぶ慣れたとはいえ、いまだに袖口や襟元(ボタンダウン)のボタンには苦戦して、
私に助けを求めることも。
 
それに頭が頑丈でおっきいから、
首まわりが小さめの、伸縮性のない素材の、かぶるタイプの服は、
脱ぐときがたいへん。
顔を真っ赤っかにして、ハアハアいいながら脱いでいます。
 
さらには、現役時代の怪我の後遺症から、首と肩の稼働域が狭くて、手が後ろにまわらない。
だからジャケットの襟がた立ってしまっていても手が届かず直せない、とか
ネクタイを結ぶことはできても、その前に首のまわりにそれを通すのが極めて困難だったり、とか。
 
そんなときは、またまた私の出番となりますが、
最近は、時間はかかるものの自分でなんとかできるようになっています。
 
手が後ろにまわらないから、カーディガンやジャケットなんかも、
片方の袖を通したあともう一方を通すのがたいへんそう。
そばにいると勢いよく殴られそうで、こちらもよけるのに必死です。
 
Gパンやスラックスのベルトを、はいてから通せるようになったのも、ずいぶん経ってからでした。
それまではベルトをまず通してから、はいていたんですよー。
 
それから足幅について。
夫は4Eでないとキツイというほどの幅広足の持ち主です。
想像してもらえるでしょうか。
 
靴屋さんでは3Eの靴はそれなりに見かけますが、4Eとなるとなかなか見つかりません。
 
ただ幅広足はお相撲さんにとっては珍しいことではないようです。
足幅が広ければ土俵との接地面が大きくなって安定感が増し、
相撲を取るうえで有利になることは素人の私にも理解できます。
 
シコを踏んだりすり足をしたり、相撲の稽古をまじめに重ねていると、
幅広足になっていくのだそうです。
 
現役時代は裸足もしくは足袋に雪駄の生活だったので、
靴下を履き、靴を履くのが窮屈でたまらないらしく、
脱げそうな場所(たとえば機内や列車内など)で、すかさず靴を脱のは当たり前。
うっかりすると靴下まで脱いじゃってます。
 
こんなふうに夫という人は、洋服姿にまったく適さないからだを持つ男なのです。