お葬式に浴衣?!

お相撲さんの衣替えの時期は、私たち一般人のそれとはずいぶん違っていて、
九州場所に入る前の10月下旬に浴衣から着物に、
大阪場所から戻ってきた後の4月初旬に着物から浴衣に替わります。
 
浴衣の時期がすこぶる長いと思いませんか!!
4月は花冷えがしたりして、浴衣ではいかにも寒かろうと思いますが、
お相撲さんってやっぱり寒さに強いと言おうか、暑がりと言おうか

夫が入門したころ(いまから30年ほど前)の九州場所では
雪がちらつくこともしばしばあったといいますが、
近ごろは場所の前半までは浴衣で過ごしたいほど暑い!
と現役時代はよくこぼしていました。
 
現役最後の年の夏に夫の父が亡くなり、婚約中だった私も葬儀に参列しました。
ちょうどそのとき名古屋場所中の夫を訪ねていたので、東京に喪服を取りに戻る時間もなくて
私は名古屋のデパートで新たに一式を調達して葬儀に臨んだのですが、
一方の夫は紺地に白文字の浴衣姿。
 
手持ちの浴衣のなかでいちばん地味なものを選んだというのだけれど、
色は紺でも大柄だから派手なのです。
そもそも葬儀に浴衣なんて、一般人的にはあり得ない!
 
関取ならそういうとき、夏用の紋付袴なのでしょう。
しかし幕下以下のお相撲さんはその着用が許されませんから、
4月初旬から10月下旬の浴衣の時期は、
たとえ葬儀であっても浴衣を着るほかないわけです。
 
義父の葬儀に参列された方たちは、お相撲さんだからと受け入れてくれていたのか、
諦めていたのか、はたまたあきれていたのかはわかりません