第二の人生いろいろ

昨日(3/6付け)の朝日の「ひと」欄に元力士の佐藤聖幸さんという方が紹介されていました。
最高位は序二段。けがが原因で20歳で引退。現在24歳。
 
佐藤さんは福島県南相馬市の出身。
ご実家が福島第一原発から2030キロ圏内だったので、
震災後は避難者を受け入れていた新潟県三条市に家族で移ったのだそう。
 
中越地震を経験した新潟の人たちの心配りに心を打たれ、
三条市に恩返しをしたい」という思いから、ご両親が福島に戻ったあともとどまり、
この地でちゃんこ屋さんの開業を目指すのだそうです。
 
今月末から修行に入り、30歳までに自分の店を持つのが目標とのこと。
がんばってほしいです。
 
そんな彼は引退後、通信制の高校に通いながら目標を探していたそうですが、
現役を退いたあとのお相撲さんたちは、どんな人生を送っているんでしょう。
 
相撲界に残れる人(親方、若者頭、世話人など)はほんの一握り。
おそらく1割にも満たないんじゃないかと思う。

つまり大多数は、引退したらお相撲とは別の世界で
第二の人生を始めなければならないということ。
 
ちゃんこ屋さんを営む人、後援会の関係者や角界OBのお店で働く人など、
ちゃんこ番の経験を生かして、飲食関係の仕事に就く人が多いようですが、
最近は介護の仕事に就く人も。
 
夫のT部屋にも、介護士さんとしてがんばっている元お相撲さんがいるそうです。
からだが大きくて力持ちの人に介助してもらえたら、それだけで安心感が高まろうというもの。
 
お相撲さんは、介護施設や老人ホームなどを訪問することが多く、
同じ年ごろのふつーの若者たちよりも、年配の方と接することに慣れているし、
立派な体格も生かせるので、介護のお仕事は飲食業に負けず劣らず、
お相撲さん出身者には適した職業じゃないかと思う。
 
介護の世界は人手不足が深刻。
これからも相撲界からどんどんステキな人材を送り込んでほしい
と私はかなり本気で思っております。
 
そのほか格闘技の世界に入った人、タレントに転身した人、整体師になった人
経験や資質を生かして成功し、活躍している人もたくさんいらっしゃると思いますが、
いま成功している人でも、引退前にはその後の生活に不安を感じなかった人はいないでしょう。
 
相撲協会としても、2、3年前から力士のセカンド・キャリア支援を始めています。
就職支援相談室を設け、履歴書の書き方の指導から就業体験の機会斡旋まで、
希望や適性に合った就職先を探すサポートをしているそうです。
 
わが子を相撲界に託す親御さんにとっても安心材料のひとつになるだろうし、
なによりお相撲さんが引退を決意するまで、お相撲に集中できる環境が整うわけだから
とてもいいことだと思う。
 
夫は現役時代から部屋のマネージャーの仕事をしていたので、
引退後も引き続きマネージャーとしてT部屋にお世話になっています。
 
相撲協会員ではないので、定年まで安泰とはいきませんが、
いままで生きてきたお相撲の世界に仕事を得られ、
そのほか本を書いたり、講演をしたり、こよなく愛する相撲の普及活動にまで関われるのは
夫にとってこの上なくありがたく幸せなことです。