橋の下で相撲甚句♪

これはあくまでも私のあて推量ですが、
能楽の安田登さん&槻宅聡さんと歌手・辻康介さんの初コラボは、
思えば“橋の下”だったんじゃないかと思います。
 
2年ほど前、朝日新聞夕刊のマリオンに紹介されていた
「名橋たちの音を聴く」と題された、日本橋川を音楽家とともに舟で旅する企画が目に留まり、
さっそく申し込みました。
 
日本橋川に架かる、日本橋をはじめとする橋の下の空間がもつ独特の雰囲気や音響を活用した、
舟の上での演奏会。とても興味をそそられます。
 
当日、夫と日本橋船着場に行ってみると、見覚えのあるお顔が…。
なんと安田さんと槻宅さんです!
そういえば、その日のプログラムは、「能楽」でした。
でもまさか、演者が安田さん&槻宅さんだとは想像もしていなかった私たちはもちろん、
安田さんたちも、図ったような鉢合わせに驚きの笑顔でした。
 
辻さん作詞・作曲の“集まったのは橋の下”という、
思わず笑みのこぼれる、軽やかでかわいらしい歌とともに日本橋を出航した舟は、
常盤橋→常磐橋 [Uターン]日本橋→江戸橋[Uターン]→船着場
というコースを1時間足らずで辿ります。
 
その都度、それぞれの橋について辻さんが説明をしてくださり、
それぞれの橋の下で、安田さんと槻宅さんによる能楽の即興が行われました。
上に江戸橋JCTがあることもあって、クルマの騒音がひどい江戸橋付近では
目を閉じて、その騒音を含めた“都会の音”を楽しみました。
 
もちろんプログラムにはありませんでしたが、安田さんの計らいで、
客として乗船していたにもかかわらず、なんと夫が江戸橋の下で相撲甚句をご披露することに。
突然のことにちょっと驚きましたが、みなさん喜んでくださったので、よかったです。
 
これまで夫の唄う甚句は何度となく聴いてきましたが、こんなに響きがよかったのは初めて。
橋の下って、驚異の音響効果です!
夫にとっても貴重な体験だったと思います。
 
このプロジェクトのコンセプトどおり、音を通じて自然や街や建築物を体感できる、
実に魅力的な舟旅でした。