能と『オルフェオ』の意外な調和♪

夫がときどきごいっしょさせていただく安田登さんは、
実に多才なお方で、それ故に多様な活動をされています。

先週末は、安田さんがゲスト出演された「南蛮ムジカのオルフェオ」を観てきました。
モンテヴェルディのオペラ『オルフェオ』からの抜粋に、チェンバロと大型リュートの演奏を織り交ぜたプログラム。
そこに能のワキ方・安田さんと笛方の槻宅聡さんがコラボレーション。

チェンバロリュートの静かなしらべとともに幕開き。
そのやさしい音色にリラックスしていると、能管の音が鳴り響き、空気がピーンと張り詰めます。
槻宅さんの笛の音に導かれて登場したのが、能装束に身を包んだ安田さん。

これから始まる『オルフェオ』について「人生における一番の幸せと不幸を経験した男の物語」と謡って、
私たちをその世界へと誘います。

安田さんは、こんなふうにオペラの字幕の役割を果たす語りをされたり、
後半では黄泉の国との渡し守の役をなさったり。

安田さんの謡いや舞いと、チェンバロリュートという古楽器の取り合わせの妙に驚嘆しました。

オルフェオ役は、ご自身が主宰する南蛮ムジカを含む3つのユニットを中心に活動されている、
歌手の辻康介さん。
1600
年ごろのイタリア音楽を中心にさまざまな音楽を歌われる方。
国際ロータリー財団奨学金でイタリアに留学されたご経験をお持ちです。

能とイタリアの初期バロック音楽には、どうやら共通する点があるようです。
斬新な試みでありながら違和感はなく、ごく自然に調和していることに感動を覚えました。

辻さんの歌うイタリア語の歌の和訳(要約)を安田さんが謡われる演出は画期的で、
字幕よりずっと味わいがありました。

会場となった本郷の求道会館の格別な雰囲気と相まって、ここ最近でもっとも心動かされたように思います。
その日は寝るまでずっと余韻に浸っておりました。
夫は合宿中だったので、観にいけず残念なことでした。

もともと、夫が現役時代にロルフィングに通っていたのがきっかけとなった安田さんとのご縁。
おかげで私も新たな世界に出会い、そのたびに感動したり幸せな気持ちになったり。
すてきなご縁に感謝です。