元行司さんが芥川賞候補に

川上弘美さんといえば、芥川龍之介賞谷崎潤一郎賞など
数々の文学賞を受賞している女流作家さん。

10年ほど前にベストセラーとなった『センセイの鞄』をはじめ、
川上さんの小説は何冊か読んでいますが、私は彼女のたおやかな語り口が好きです。

さて、その川上弘美さんが数年前から選考委員を務めていらっしゃる芥川賞
今年上期の選考会があす開かれます。

その候補に、テレビでもおなじみのいとうせいこう氏や
芥川賞候補の常連さんである戌井昭人氏らと並んで、
鶴川健吉氏がノミネートされています。作品は「すなまわり」。

鶴川氏は、高校中退後1998年から3年ほど行司さんとして相撲界に身を置き、21歳で退職。
その後大検を取得して大阪芸大に進み、卒業後は温泉旅館などで働くという、異色の経歴の持ち主。
2010年には、文學界新人賞受賞という実績をお持ちです。

文學界6月号に掲載されている「すなまわり」は、
ご自身の行司経験を下敷きに書かれたそうですから、
お相撲に興味ある者としてはぜひ読んでみたい小説です!

相撲界のなかにいた人によって、その世界のことが小説という形で語られるのは
これまでにはなかったことだと思います。

まだ読んでいないのでなんとも言えませんが、
元行司さんによって書かれたこの小説が、相撲界という特殊な世界と、
その外側の世界をつなぐ役割を果たしてくれるものであるなら、とても意義深いと思う。
個人的にもなんともうれしいことです♪

なにはともあれ、相撲を題材とした小説が芥川賞受賞!!
なんてことになれば、相撲にまったく関心のない人たちを含め、
とてつもなくたくさんの人たちにその魅力を知ってもらえることになるでしょうから、
本命を抑えて「すなまわり」が選出されることを祈りつつ、結果を待ちたいと思います。