異文化との出会い
本日は101回目の投稿。
ということで、初心に戻ってみることにします。
四半世紀もの長きにわたって相撲界に身を置いてきたわりに夫は、
比較的“よかた”の感覚に近い人だと結婚する前には思っていた私。
しかし共に暮らしてみると、あけてびっくり玉手箱!
常識や文化の違いがつぎつぎに露呈したことはブログ初日に書きました。
そう、私たち夫婦は異文化人同士。
今日は、それをしかと認識した出来事について書きたいと思います。
長くなりそうですが、どうぞ最後までお付き合いくださいますように。
唐突ですが、タクシーの上座が運転席の後ろの席であることは、常識ですよね。
ただし、よかたの世界では。
相撲界では助手席の後ろが上座なんですって。
走行中の安全面が配慮されているよかたの世界に対して、
相撲界では重いからだをなるべく動かさずにすむことが配慮されているようです。
さて夫が現役のころ、いっしょに食事に出かけると帰りはたいていタクシーだったのですが、
タクシーを拾うと彼は、何の躊躇もなく先にササっと乗り込むのです。
一方、ずっとよかたの世界に暮らしてきた私は、男性といっしょにタクシーに乗るときには、
その人が上司であっても、先に乗せていただき運転席の後ろに座らせていただいていました。
そうです、“ladies first”です☆
だから、はじめはそそくさと先に乗り込む夫にビックリ。
でもまぁ、「レディファーストしてちょーだい」と自分から言うほどのことでもないし、
たいして気にもせず流していました。
しかし度重なってくると、何かしらモヤモヤが募ってきます。
結婚してしばらくしたある日、夫の兄家族のおうちに行った折に、
義姉と“夫への不満話”に盛り上がったので、なんとなくこの一件について話してみたところ、
夫は私に気を使って先に乗り込んでいたことが判明。
お互いにたいそう驚いたのでありました。
その日の帰りは、義兄夫婦が見守るなか、
夫は初めて私を先にタクシーに乗せてくれました♪
たしかに、上座・下座に気を使うことは、基本的なマナーでしょう。
けれど、これはお互いに気持ちよく生きていくために人がつくった単なる原則。
臨機応変な対応が必要なことも多々あります。
また「ところ変わればマナーも変わる」例はいくらでもあるわけで。
よく考えてみれば、そもそもからだが規格外に大きな人たちの集団である相撲界に
特有のマナーが生まれるのは当然といえますね。
結婚して6年近く経ったいま、その分の階段をのぼったところから俯瞰すると、
“タクシーの上座問題”を入口として二人の間にある無数の常識や文化の違いが
その背後に広がっているのがよく見渡せます。
義兄宅でこの日、お互いの“タクシーの上座”の認識に違いがあると知ったことは、
われわれがそののち経験することになる異文化交流の序章にすぎなかったのです。