歌舞伎と相撲のコラボ

国立劇場の今年の初春歌舞伎公演では「夢市男達競」が上演されました。
これは、河竹黙阿弥の「櫓太鼓鳴音吉原」を原作に用いて、現代の上演形態にアレンジした娯楽作。
ちなみに今年は、黙阿弥の没後120周年に当たります。

このお芝居には初代横綱とされる明石志賀之助が登場することから、
相撲協会の協力で、初日の1月3日から6日までの4日間、ロビーで櫓太鼓の実演が行われ、
また公演期間中は、2階に相撲関連の展示コーナーも設けられました。

国立劇場での太鼓実演を仰せつかったのが、高砂部屋の呼出し利樹之丞さん。
夫はせっかくだからと、新年早々に国立劇場へ。
利樹之丞さんの太鼓を聞いてから、「夢市男達競」を観劇。
お楽しみ満載の、お正月らしいお芝居を満喫した様子でした。

夫から話を聞いて私も観にいきたくなり、その翌週、さっそく国立劇場に足を運びました。
実は国立劇場は、高校生のころ初めて歌舞伎鑑賞したところ。
以来、歌舞伎座新橋演舞場には幾度となく訪れましたが、
国立劇場へは行く機会がなく、実にン十年ぶりの来訪となったため、
しばしノスタルジックな気分に浸りました。

閑話休題明石志賀之助を演じたのは、今年結婚された尾上菊之助さん。
婚約会見のときに、お相手のお父さまである中村吉右衛門さんが、
「今年の初めにお相撲さんの役をやった菊之助さんは押しが強かった」とおっしゃっていましたっけ。

今年1月まで横綱審議委員会のメンバーでいらした、人間国宝澤村田之助さんは、
行司役として出演されておりました。

利樹さんの太鼓が聞けなかったのは残念でしたが、
笑いあり、涙あり、派手な見せ場あり、見ごたえたっぷりの作品を十分に楽しみました。

ところで、歌舞伎も相撲も江戸時代に起源をもつ日本の伝統文化であり、
平日の昼間に時間を取れるという点で客層も重なる部分があるのではないかと思われるため、
平成中村座」の懸賞幕や、国立劇場での櫓太鼓実演のほかにも、
歌舞伎界と相撲界とのコラボレーションが進めばいいなと思います。

たとえば共通チケットを販売したり、期間中に両方を観た人にはゆかりの品をプレゼントしたり、
歌舞伎役者さんが打ち出し後などに土俵を回って公演の宣伝をしたり…。
 
こんなふうにアイディアを思いめぐらすだけで、わくわくします。