文楽の腹帯と相撲のまわし

年初に、ン十年ぶりに国立劇場を訪れたら、
ご縁が復活したのか、今年はとみにお邪魔する機会が増えました。

9月には文楽を初鑑賞。
演目は「伊賀越道中双六」。
曽我兄弟の仇討ち、赤穂浪士の討ち入りに並ぶ、日本三大仇討ちのひとつです。

鑑賞前に浄瑠璃の豊竹咲甫大夫さんからレクチャーを受け、
文楽の魅力や見どころをお聞きしていたのもあって、存分に楽しみました。
歌舞伎とはちがった妙味があります。
 
さて、咲甫大夫さんのレクチャーで興味深かったのが、
大夫さんたちがマイクを使わず劇場内の隅々まで声を届けるために、
つまりお腹から声を出すために、3つの道具を用いた工夫がなされているというお話。
 
腹帯をきつく巻く
巻く位置は下腹(=丹田)。ちょうど相撲のまわしと同じ位置です。
 
着物の懐に「オトシ」と呼ばれる小豆や小石を詰めた袋を入れる
お腹に力が入るような、バランスのよい姿勢をとるため。
重心の安定に欠かせないもののようです。
 
爪立ちをして(足の親指を立てて)座る
お腹からの発声には立った姿勢が最適だが、座って声を出さなければならないので、
立っているのと同じ姿勢をとるために、お尻の下に小さな台(尻敷き)をあてがい、爪立ちをする。
ちなみにこの尻敷きは「七兵衛」と呼ばれているそうです。愛着わいちゃいます♪
 
いずれも、古くからの知恵。さすがユネスコ無形文化遺産です。
 
お腹から声を出す浄瑠璃語りにおいても、
どっしりとした腰の構えが必要な相撲においても、
大切なのはやはり「丹田」なんですね!