出会いは銀座のスナック

先月の名古屋場所中日の前日、田中彌壽雄先生が逝去されました。
新聞各紙のおくやみ欄に掲載されていたので、目にされた方も多いと思いますが、
24日にお通夜、25日に告別式が東京駿河台のニコライ堂で行われ、
夫も名古屋からお通夜に参列しました。

お父さまの繁吉画伯の画集出版を祝う会が開かれたのが昨年9月。
とてもお元気そうだったので、突然の訃報にはショックを受けました。
84歳。肺がんだったそうです。
 
あのとき、夫がご披露した“画集出版を祝う甚句”をたいそう喜んでくださり、
目頭を押さえていらしたことが思い出されます。
いま思えば、甚句をつくる機会をいただけて本当によかった。そう強く感じます。

田中先生は、東京タワー、名古屋テレビ塔通天閣などの設計に携わった、
建築構造学がご専門の早稲田大学名誉教授でした。

長きにわたる大相撲ファンでもあり、1995年には『玉錦双葉山とその時代』
という500頁近い大作を上梓されています。

田中先生と夫を結びつけてくれたのが、このご本でした。
銀座のあるスナックで先生とたまたまいっしょになり、
先生に「お相撲さん、これ差し上げます」と声をかけられ、ご著書をいただいたのだそう。
これをきっかけとして、20年近くにわたる交流が始まったのでした。

田中先生のご冥福を心からお祈りします。