アンコとソップ

大乃国千代の富士の連勝を53で止めた千秋楽結びの一番が、「昭和最後の相撲」になった、
という記事を今朝の朝日新聞で読みました。
1988九州場所のことです。

私が10代で大相撲に魅入られたきっかけは、千代の富士でしたから、
この結果にショックを受けたものでした。
あれから26年も経つんですねー

お相撲さんはその体型によって「アンコ型」、「ソップ型」という呼ばれ方をしますが、
前者はまるまると太った大きな力士、後者はやせ型力士。

「昭和最後の一番」はアンコ型力士とソップ型力士の対戦だったともいえます。

しかし意外にも大乃国は、入門時はソップ型だったのだそうで、
その後1年で50キロ近く体重が増えたといいます。

部屋に訪ねてきたお母さまが
「青木(大乃国の本名)をお願いします」
と本人に向かって言ったのだとか。
1年で50キロもの増量じゃ、我が息子と気づかぬのも無理はありません。

明日初日、新小結の勢との対戦が組まれた白鵬も、
いまでこそ192センチ、157キロの堂々たる体躯の横綱ですが、
力士になるために15歳で来日したときには、175センチ、68キロしかなかったそうです。
そのため、彼を引き受けてくれる部屋は見つからず、いよいよ翌日モンゴルに帰るというときに
竹葉山宮城野親方が声を掛けてくれた、というのはよく知られた話です。

その白鵬が慕っていたという大鵬も、横綱として優勝を重ねていたたころは、
150キロを超えるほどの立派な体格でしたが、
入門したころは、あばら骨が浮き出るほどのソップ型だったそうです。

このような例を見ても、ソップ型で入門し、だんだんとアンコ型に近づいていくのが力士として理想ではないか。
つまり、体の大きさで勝つのではなく、まずは体の使い方を工夫しながら覚えていき、
そんなふうに稽古しつつ、しっかり食べて少しずつ体を大きくしていけば、
怪我をしない体や体の使い方が身につき、これが真の強さにつながるはずだ、
というのが夫の考えです。