同じ釜の飯を食う意味

「外国人力士は、なぜあんなに日本語が上手なんですか?」
夫も、よく聞かれるようです。
 
たしかに彼らの上達の速さには驚かされますが、
大部屋での共同生活のなかで、必然的に言葉を覚えていく、
というのがそばで見てきた夫の率直な感想。
 
以前、大物外国人が入門したため個人的な通訳をつけるほど気を使った部屋があったそうです。
プロ野球やJリーグでは当然のことなのでしょうが、相撲界ではかなり珍しいこと。
その力士は、勝ち続けて番付をどんどん上げながらも、
結局は相撲界になじめず1年たたないうちにやめてしまったのだそうです。
 
ところで、外国人にとって“阿吽の呼吸”の立ち合いは、わかりにくいもののようです。
マチュアでは、国際大会で、”阿吽の呼吸”での立ち合いは不公平だと物言いがつき
「よーい、ドン」を意味する、レフリーによる「ハッキヨイ」で立ち合うことになっています。
 
そういう感覚って、おしえて身につくものではなさそうです。
 
あれ? でもでも大相撲の世界では、
いまや多くの外国人力士がちゃんと“阿吽の呼吸”で立ち合っているじゃないかって?
 
夫いわく、同じ屋根の下で24時間生活を共にしているうちに、
そういうことも自然に体得していくのだとか。
 
言葉を身につけることはすなわち、文化も丸ごと受け入れて理解することにほかなりません。
いっしょに暮らしているうちに、いつしか文化を理解し言葉も操れるようになるのは
ごくごく自然なことなのでしょう。