黒焼きのうなぎで体力回復、肌つや冴える

 今年の土用の丑の日は7月22日(二の丑は8月3日)。
まだ3週間ほど先のことですが、前回に引き続きうなぎネタです。
 
うなぎと相撲に何か関わりがあるかな~
と調べてみると、元お相撲さんが営むうなぎ屋さんが武蔵小杉にありました。
 
ここ「むさし野 本店」のご主人は、
昭和20年代~30年代にかけて小野川部屋の力士だった方。
 
なんでもこの店舗は、かつての小野川部屋をそっくりそのまま移築したものなのだとか。
建物は趣のある昭和初期の木造で、
床には蔵前国技館時代の土俵の土が敷き詰められているといいます。
 
こちらのうなぎの蒲焼は、蒸してから焼く関東風ではなく、
さばいたあとにそのまま焼く「黒焼き」という手法が用いられているのだそう。
これは、うなぎを何度も裏返し、煙で包み込んで燻製状態にする焼き方で、
皮がカリッと仕上がるばかりでなく、旨みも栄養分も逃がさないんですって。
 
店内の看板によると、この「黒焼き」は
古今無双の強さを誇ったといわれる、江戸後期の大関雷電の逸話に由来するらしい↓↓
 
    「その昔、角力信濃巡業中に天明の飢饉に遭い、千曲川のうなぎを採り、
    黒焼きにして喰いたる処、忽ち力士の体力は回復し、肌艶は冴え、
    中でも当時の名力士雷電はその強さと共に大いに歌妓にもてはやされたる由」
 
再開発が進み、しばらく行かないうちにすっかり様変わりした武蔵小杉。
蔵前国技館の土俵で相撲を取ったことのある夫が名古屋から戻ったら、
高層ビルが乱立する街に佇む、古きよき「昭和」の香りがするこのお店で、
雷電が食べたといううなぎの「黒焼き」をつつきながら、お相撲の話でもしたいなぁ、
と思う蒸し暑い日曜の午後です。