続・四股名あれこれ

しこ名の話に戻ります。
 
輪島、長谷川、蔵間など、入門から引退までしこ名を本名で通した力士はいますが、
出島のように、姓名とも本名で通した例は珍しいのだそうです(名は武春)。
 
輪島は大関昇進を機に、本名の「博」から「大士」に改名。
長谷川は「勝利」から本名の「勝敏」、さらに「勝廣」→「」、
蔵間は本名の「龍也」から「龍矢」→「龍也」→「豹牙」→「竜也」と改名しています。
 
輪島さんのように、大関や幕内、関取などへの昇進をはじめ、
改名のきっかけや理由はさまざまあるのでしょうが、夫の場合はケガが多かったからだそう。
 
はじめは「徳の島 鉄太郎」で1年ほど取っていましたが、
ケガばかりするので、師匠(元房錦の若松親方)に改名を勧められ、「徳錦 价(よし)」に。
それでも相変わらずケガが多かったので、「徳」の字がよくないのではないかと、
師匠が挙げてくださった「房小松」「松光」「一ノ矢」など5つほどの候補のなかから
「一ノ矢」を選び、以来「一ノ矢充」として20年以上土俵に上がりました。
 
引退したいまも、夫を「一ノ矢さん」と呼ぶ人は多く、
私の両親をはじめ、親戚や友人もそう呼んでいます。
 
20年以上も慣れ親しんだ名前なので、
本人もそう呼ばれるほうがしっくりくるのかもしれません。