元力士の落語家さん

先月、目白庭園内の赤鳥庵で催された、三遊亭歌武蔵師匠の落語会。
さるお方のお誘いを受けてごいっしょしたのですが、歌武蔵師匠はなんと元お相撲さん。
 
中学卒業後、元横綱三重ノ海武蔵川部屋に入門。
ケガのため半年ほどで角界を去り、その後すぐに落語の世界に。
二ツ目時代には、海上自衛隊に入隊したご経験もある、異色の落語家さんです。
 
出囃子にのって登場すると、開口一番「ただいまの協議についてご説明いたします」。
いまも元お相撲さんと言われれば納得のご立派な体格なので、笑いを誘います。
 
この日は「胴斬り」と「らくだ」を披露してくださったのですが、
まくらのお相撲話がすこぶる長くて、こちらだけでも満足というほどの面白さでした。
貴闘力とは同期生で、二度対戦があり、ご本人いわく
「対戦成績は11敗。勝率5割 v(^^)v
 
相撲界を離れ、落語家になられて約30年の師匠は、
堂々たる恰幅を十二分に生かした、聴衆に一瞬たりともよそ見をさせぬすさまじいまでの迫力で、
私たちを引きつけました。
 
落語家さんにもいろんなタイプがいらっしゃいますが、こんなに迫りくる方は初めて。
噺に引き込まれ、のめり込み、あっという間の2時間でした。
 
聞き終えたときの感覚は、両者が存分に力を出し合った、
攻防のあるいい相撲を見たあとのそれに似ていた気がします。