車イスのまま観戦したい

8月14日付けの東京新聞一面に、10月に開催予定の入間市での巡業で、勧進元が当初、車イスのまま観戦することを断っていたという記事が掲載されていました。

断られたのは、埼玉県に住む四肢まひの女性で、支えやベルトのない一般の椅子には自力で座れず、車イス以外では観戦できないそう。

さらに電動車イスの背もたれや座面の調節機能を使って起立性低血圧の対策や体圧の調整をしているため、車イスを降りれば深刻な体調悪化を招きかねないのだとか。

主催者側の担当者は、「車イス利用者を排除するつもりは毛頭なく、配慮が足りなかったと反省している」と話しているとのことですが、たしかに障害をもつ人や車イスで生活する人と身近に接する機会がないと、想像するのはむずかしいのかもしれません。

昨年の九州場所、父を福岡国際センターで観戦させるべく溜席を用意していたものの、入院を余儀なくされ、次第に容態が悪化。
とてもじゃないけれど溜席で観戦できる状態ではなくなり、車イス用の席を探しましたが、場所直前ではすでに完売。

そこで、より近くまで車イスで行けて、父をおんぶして入っていきやすい枡席を夫に探してもらい購入。
準備した座椅子に座らせるつもりでした。

病気でいくら痩せてしまったとはいえ、骨格がしっかりしている成人男性で、しかも自分では力を入れられないので、より重さがかかります。

あとから知ったのですが、夫はお相撲さんをおぶってシミュレーションしてくれていたそうです。

そんな苦労の甲斐もなく、観戦予定日の2、3日前から意識が混濁してきて、車イスに乗せることさえできない状態になり、本人も楽しみにしていた国際センターでの観戦は叶いませんでした。

車イスでの生活はそれだけで制約が多く、我慢しなきゃならないことだらけだと思います。

今年4月に障害者差別解消法が施行されたばかり。
一人ひとりが少しずつでも、車イス生活の人や障害を持つ人たちに配慮し、想像力をはたらかせられるようになれたら、と思います。

そして本場所のみならず巡業でも、車イスのまま観戦できる席の設置が標準になっていくことを願います。