歌舞伎と相撲の“ドブ”

歌舞伎座のドブ席で六月大歌舞伎を見てきました。
知人に譲ってもらったのですが、ドブ席での観劇は初めて。
手を伸ばせば役者さんに届くほど花道が間近で、見応え十分。
さすが通好みの席です。

歌舞伎の“ドブ”は、花道の外側(下手側)の席ですが、
相撲で“ドブ”というと、東西に設けられた記者席を指すそうです。

歌舞伎の場合、花道と桟敷席に挟まれた、あの部分は確かにドブのように見えます。
江戸時代の絵では、よりドブっぽく見えます。

相撲で記者席を“ドブ”と呼ぶのも、やはりそのように見えるからでしょうか。
東側と西側の溜席の後方に机が設えてあり、
その下は堀ごたつ式に腰かけられるようになっています。

“ドブ”のようなみぞが正面寄りの通路から向正面寄りの花道までを一直線に貫いていることから、
そう呼ばれるようになったんじゃないかと推察しています。

町中にドブなんぞ見かけなくなってしまいましたが、
いまも歌舞伎小屋や相撲場には存在しています。